真夏の温度差、露地とハウスをうまく使い分ける
ぼくからの今週のおたよりです。真夏(7月から8月)は、露地とハウスの使い方が収量と品質を大きく左右します。気温が高い時期だからこそ、それぞれの特性を活かす工夫がひとつ上の農業につながります。
露地とハウスの気温差は思ったより大きい
ぼくが飛騨・岐阜の農家さんのデータを見ていると、真夏でも露地とハウスの日中気温に10℃以上の差が出ることがよくあります。
露地:通風が良いので、気温が35℃でも実際の作物周辺は32〜33℃程度に落ち着くことが多い。土壌の蓄熱が穏やかです。
ハウス:密閉環理が強まると気温が45℃を超えることも。特に南向きで遮光がない場合、キュウリやトマトの花落ちが顕著になります。
遮光は「時間帯」を意識すると効く
遮光ネットを「かけっぱなし」にする農家さんもいますが、ぼくのおすすめは時間帯を絞ることです。
- 午前8時〜午後3時:遮光率30〜50%のネットで日中の直射光を和らげる
- 午後3時以降:取り外して夕方から夜間の放射冷却を活かす
こうすると、
1. 花粉の発芽率が上がる(トマト、ナス)
2. 果実の日焼けが減る
3. 夜間に気温が低下し、根の呼吸負荷が減る
という3つのメリットが出ます。終日かけっぱなしだと、夜間まで気温が高いままで、かえって生育が鈍くなることもあります。
露地での「打ち水」と「敷き草」が意外と効く
気温が高いほど、土壌表面の温度も跳ね上がります。露地のトマト、ナス、ピーマンの根が弱るのは、気温より土壌温度が原因のことが多いです。
- 早朝の打ち水:夜明け直後、根元を軽く湿らせると、気化熱で土壌温度が2〜3℃低下
- 敷き草・マルチ:わら、ココやし繊維、黒いマルチなら、土壌温度の上昇を5℃程度抑えられます
特に敷き草は、秋にそのまま耕せば肥料も一緒に戻るので、長期的には土づくりにもなります。
ハウスの「天窓・側窓の開け方」が決め手
ハウスの通風が十分でないと、気温と湿度が急上昇します。遮光だけでなく、段階的な換気が大事です。
- 気温が30℃を超えたら、天窓を全開に
- 気温が32℃を超えたら、側窓も開ける(風が抜ける方向を意識)
- 気温が35℃を超えたら、遮光ネットを降ろす(同時に天窓・側窓全開で通風を確保)
遮光と通風の順序が逆になると、たこつぼ状態で気温がさらに上がります。
水分・肥料も気温に合わせる工夫
気温が高いほど、植物の蒸散量(根から吸収した水が葉から蒸発する量)が増えます。
- 露地:朝1回の潅水では足りなくなる。気温35℃超なら、午前と午後の2回潅水がめやす
- ハウス:潅水の後、30分以内に気化熱を逃がすため、通風を強化する
肥料は、高温時は窒素が効きすぎる傾向があります。葉ばかり茂って実がつきにくくなります。7月中旬以降は、カリウムとリン酸のバランスを意識してみるのがいいかもしれません。(ラベルの登録内容を確認の上、使用してください)
ぼくからのまとめ
露地とハウスは「別の環境」と割り切って使い分けることで、真夏でも質の高い野菜が作れます。
- 露地は「通風と土壌管理」
- ハウスは「遮光と時間帯」「通風と換気」
この2本立てで、8月いっぱい、好調な収穫を続けてみてください。何か試してみたことがあったら、ぼくにもおしえてもらえるとうれしいです。
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